乳房再建外来
私は右胸全摘するのだけど、切るのは乳腺外科で作るのは形成外科とのこと。しかも同時再建をするとなると、物を取り寄せる必要があるとのことで、その話を聞きに形成外科にやってきた。乳房再建の専門の外来があるらしい。助かるね。待っていると先生直々に「いずみんさん」と呼びに出てきてくれた。年の頃40代初め?のイケイケな感じのもてそうな男の先生。再建の方法には3つあり、1,人工物を使う方法、2,自分のお腹か背中の筋肉を神経や血管ごと持ってきてつくる方法、3,脂肪吸引で集めた脂肪を詰めてつくる方法を、メリットデメリットを交えて1時間かけて懇切丁寧に説明してくれる。こんなに詳しく説明してくれるんだあという感激が大きい。2は乳房以外にも傷ができるし、腹筋背筋が衰えるデメリットがあって手術時間も長くなる、3の脂肪吸引はまだ新しい方法でほとんどやっていないと聞き、まあ1だろうなとお返事した。イケイケ先生も1推しだったようで、「じゃあさっそくサイズを測りましょう!」とノリノリ。嬉しそう。ここまでは。
イケイケ先生困る
サイズを測るために服を脱いで診てもらう。と、私の胸を一瞥したイケイケ先生が明らかに困惑してフリーズする。そう。私はHカップの爆乳超わがままボディ。しかも垂れてる。このおっぱいが再建できるのかなあと不安だったけど、あまりにもイケイケ先生が自信たっぷりに説明してくれるので、形成外科にとっては私のパイパイなんて、おちゃのこさいさいなのかと思っていた。もしかして、気づいてなかった?あんなにイケイケだったのに、水戸の印籠を見せられた悪代官みたいにヘナヘナになってしまった先生。「この爆乳が目に入らぬか!」状態で両者にらみ合いの末「え、これインプラントでできるかな…」とポツリとつぶやいたイケイケ改めヘナヘナ先生。正直同情したよね。「あ、ま、じゃあ、サイズを」とメジャーと分度器を出して測ってくれるのだけど、何度も首をかしげながらため息をつき、「インプラントでできるかな…」と2度目のつぶやき。そして「えーと、中に入れるシリコンのサイズを」と言いながら、私の胸にサンプルをあてるんだけど「ないな」と完全に撃沈している。私の胸を見てこんなに打ちひしがれる男を見たのは、私にとっても初めての経験で、ヘナヘナ先生がとてもかわいそうになった。でも今の私は、同情するなら乳をくれ状態なので「どうぞよろしくお願いします」と深々と頭を下げて、とどめを刺しておいた。
災い転じて福となす
しかし、このヘナヘナ先生の逡巡が、のちの私の運命を大きく変えることになる?乞うご期待!